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崇高
崇高とは、通常の美の領域を超えた圧倒的な広大さや力に接した際の美的・哲学的経験を指す概念である。美学理論においては、知覚者に畏怖や戦慄、そして精神的高揚が混在する特有の心理的緊張をもたらすものとして論じられる。
概要
エドマンド・バークは崇高を、安全が確保された状況下で恐怖や自己保存の本能から生じる心理的経験として分析した。イマヌエル・カントは『判断力批判』においてこれを批判哲学の枠組みに位置付け、規模の無限性に関わる数学的崇高と、圧倒的威力に関わる力学的崇高を区別した。カントによれば、感性と構想力が圧倒される不快な契機を経て、理性が自らの超感性的な能力と道徳的尊厳を自覚することによって崇高の感情が成立する。
なぜ重要か
崇高の概念はロマン主義の絵画や文学に深い影響を与え、自然の峻厳さや有限性の自覚を表現する主題として展開した。近代以降は、巨大な産業技術やデジタル環境、さらには心理的トラウマを論じる批判的枠組みとしても応用されている。